「LLMを信頼しないことで、LLMを最大限活用する」
LoDDは、生成AI(LLM)を実務レベルで安全に稼働させるための、小規模チーム(1〜3人)向け開発ワークフローです。AI特有の不確実性を構造的に封じ込め、開発期間全体のスループットを最大化します。
LLMを用いた開発における最大の敵は、文脈の拡大に伴ってAIが勝手に型の解釈や暗黙の前提を変えてしまう**「セマンティックドリフト(意味の変質)」**です。
3DCGツール開発のような外部APIの地雷が多く、開発サイクルが短いドメインでは、このセマンティックドリフトによる手戻りが致命傷になります。 LoDDは、プロンプトで「疎結合にしろ」と指示するのではなく、「疎結合でしかいられない」物理的なディレクトリ構造と権限によって、この問題を解決します。
LoDDは以下の4つの柱でセマンティックドリフトを防ぎます。
1. コンテキストの徹底封鎖(Lock-down) AIが「今、ここ」の責務にのみ集中できるよう、関係のないファイルへのアクセスを構造的に遮断します。タスクごとに読み書きできる許可範囲(Context Boundary)を極限まで絞り込みます。
2. ドメイン知識の分離と注入(knowledge/)
3DCGドメインには、DCCツール特有のトラップや社内ライブラリの作法など、AIが知らない暗黙知が存在します。これらを knowledge/ ディレクトリに実機検証済みの「事実」としてプールし、必要なタスクにのみ静的に注入します。
3. 手戻りの最小化(Iteration Control & Delta Recovery) エラー発生時、同じチャットで修正指示を続けるとコンテキストが汚染され、新たなドリフトを引き起こします。LoDDでは、エラー原因をピンポイントの差分指示(Delta Recovery)として抽出し、必ず「新規チャット(New Chat)」で再投入します。過去の失敗を引きずらせません。
4. AI負債の可視化と構造的返済(AI Debt Management) 「テストは通ったが、AIが書いたコードの意図を人間が理解していない」「暗黙の前提が埋まっている」。これらを「AI負債」と定義し、タスク完了時にマーキングします。サイクルの中に「返済スプリント」を組み込み、負債が爆発する前にコントロールします。
LoDDの構造は、すべての要素がAIの暴走を防ぐ「防壁」として機能します。
repo/
├ AGENTS.md # AIへの全体ルールブック。禁止事項や制約を定義
├ architecture.md # システム全体の目的と設計判断(SSOT)
├ interfaces/ # モジュール間の入出力契約。AIによる無断変更を阻止
├ knowledge/ # DCCの地雷情報や社内APIの使い方など、検証済みの知識
├ tasks/ # AIへの個別指示書。ここでContext Boundaryを厳密に定義
├ iterations/ # AIの試行錯誤ログを隔離するサンドボックス(完了後に破棄)
├ src/ # プロダクションコード本体
└ tests/ # タスクの完了(Done)条件を自動判定するテスト群
- タスク定義:
tasks/に指示書を作成し、AIが触れる範囲(Context Boundary)を厳密に定義します。 - 静的注入: 許可された
interfaces/とknowledge/だけを繋ぎ合わせ、AIに渡します。 - 実装と検証: AIが
src/とtests/を生成・編集します。 - エラーリカバリ: 失敗した場合は
iterations/にログを残し、新規チャットで差分のみを修正させます(Delta Recovery)。 - 負債の記録: パスしたら、AI負債(未レビューの関数など)を記録し、
iterations/のゴミを捨ててクリーンな状態を保ちます。
Note: AIが壊すかもしれない青天井の不確定コストを、人間が事前に境界と契約を書く「確定コスト」へ変換する。それがLoDDの哲学です。
© 2026 Shouichi Kanbara (pikovolt)
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- スクリプト・ソースコード (
src/などのプログラムファイル): MIT License が適用されます。詳細はLICENSEファイルをご参照ください。 - ドキュメント・ワークフロー定義 (README,
knowledge/などの文章): クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンス (CC BY 4.0) の下で提供されています。詳細はLICENSE-DOCSファイルをご参照ください。